命日

 

あの頃のぼくは

不器用でまだらな木漏れ日を頬で感じながら

人生を超える一瞬を見つめていた

 

空に生命は消えたから

価値は隠されて

甘ったるい風が頬を過ぎていく

 

コーヒーを指先で支えながら

熱が和らぐのを待っていた

 

時が流れても熱はひかなかったから

そっと息を吹きかけた

 

ほのかな香気があやふやに立ち上り

落ちてくる陽光に渦巻きながら霧散した

 

人生は短く君のものだ

 

rest in peace