死んでも消えないくらいの想いを。

前職の会社は六本木ヒルズノースタワーにオフィスありました。駅直結、飲食・宿泊施設は近辺に多数あるという便利なビル!創業メンバーのエネルギー量は凄まじいものでしたから、日に日に働き方はエスカレートしていき、ほぼ家に帰らない日々が続くこともありました。

当時は睡眠時間が週平均10時間、もっとひどい時期は連日にわたる徹夜もありました。創業メンバーで徹夜終わりの打ち上げを行ったその足で職場に戻ってしまうということも多々あったと記憶しています。従業員が増えるまでは、一人当たり業務量は溢れんばかりだったのにもかかわらず、新規事業企画も多数取り組んでいたのだから、仕事は片付くはずもありません。この時に「死ぬ気でやれ、死なないから」は誤りで、「死ぬ気でやったら、本当に死ぬ」が正しいと気がついた次第です(笑)。血尿は序の口、デスクで失神、駅の階段で失神しつつも、従業員から馬鹿かと笑ってもらったことを覚えています。身体中の皮膚が荒れに荒れ、健康状態はひどいものでしたが、楽しくやっていました。売上高が10億を超え、20億を超え、30億を超え、それでも増え続ける仕事のなかで、いちいち自身の熱意を思い起こしたり、逆境を嘆く暇さえつかずに目の前のリアルに取り組んでいたことと思います。きっかけもなくデッドヒートしていられる状態は特異な体験でした。

それこそ、血へどを吐きながら開拓した石油会社、大手紳士服企業、そして上場不動産会社のオーナーに「会社の運営が困難になった時に、いかにして乗り越えたか」という話を不躾ながら伺ったことがあります。「顔面を刀で切られても、働き続けたと思う。それくらい思いつめていた。」「生きるか死ぬかだったから、どうやって情熱を保とうということは一度も思い浮かばなかった。」「妻と子のことが頭から離れず、ゆえに仕事から離れることができなかった。」とお答えがありました。本筋とは離れますが、長年経営をされていると、辛い体験もひとつやふたつではないという話もよく聞きます。どの話にも共通しているのは、「金」ではなく「人」です。「信頼していた仲間に裏切られた経験」や「従業員を解雇しなければならない状況」が心の底から辛かったという共通の想いがありました。

様々な方のお話を、私の拙い体験と重ね合わせた時にある想像が頭をよぎります。死んでも消えないくらいの想い。おそらく百戦錬磨のオーナーには、どんなに辛いことがあっても絶対に諦めない気性が、無意識のうちに潜んでいるのだと思います。それこそ、いちいち思い返したり、自身を奮い立たせることがなくても、グロテスクで、閾値を超えた仕事ができるような。