これだけは知っておきたいシリーズ 〜金投資〜

今後、これだけは知っておきたいシリーズの展開として、クレジット(高格付/投資適格/ハイ・イールド/TIPS/EM債)、オルタナティブ(保険/戦略/絶対収益/不動産/リスクパリティ など)、株式(各種)、デリバティブや、ポートフォリオの作り方、経済のサイクルなどについて執筆したいと思いますが、前回の金利流動性に続き、今回は金です!

 

金のニューヨーク先物相場は、昨年10月の株式暴落を背景に、1オンス1,188ドルから上昇を続け、今年の2月には16年以来の高値である1,335ドルをつけました。不安定な経済やリスク資産の動向を背景に、株のヘッジ目的で金への資金流入が増しているためです。また、189月にバリック・ゴールドが、ランドゴールド・リソーシズを買収したことを皮切りに、金鉱業界においてM&Aが盛んになっています。

 

本日は、金について触れてみます。金の相場を左右する要因は、主に3つあると考えています。⑴実需、⑵リスク回避の動き、(3)米ドル相場(特に金利動向)です。

(1)実需

金の推定埋蔵量は57,000トンと言われていますが、年間3,100万トンのペースで発掘されており、このままでは枯渇してしまいます。供給は長期的に先細っていくかもしれません。一方で、新興国の経済発展を背景に工業需要が増したり、新興国の中間所得層の増加によって宝飾品としての需要も増しつつあります。こうした企業と消費者のみならず、新興国を筆頭とした中銀による需要の実需も増加傾向にあります。各国の政府の金準備残高を見ると、193月時点で、米中銀8,133トン、独中銀3,369トン、IMF2,814トン、伊中銀2,451トン、仏中銀1,040トン、露中銀2,119トン、中中銀1,864トン、スイス中銀1,040トン、日銀765トンです。米国に関していえば、ブレトン・ウッズ体制期から基軸通貨として米ドルを推進してきたために、外貨準備として他国の通貨を所有する必要がなく、一部を金購入に使ってきました。また、未だ保有量は先進国に及ばないものの、中露以外でもインドやトルコの金保有量が2007年以降急増しています。一般的には、世界的な基軸通貨である米ドルの信認が揺らいでいるという理由ですが、この流れは昨今のトランプ政権による制裁、制裁、制裁という外交によって加速する可能性があります。一方で東アジア諸国の外貨準備に占める金の割合はさほど高くありません。これは、米国からの圧力で米国債を買っているからと考えます。金の動向は、後述する通りドルの推移に大きな影響を受けますが、この中銀の保有量が重要視されることもあります。例えば、97アジア通貨危機です。FRB政策金利を大幅に引き上げたことによって、新興国から米ドルに資金が流出しました。これを受けて、97新興国の通貨安が加速し、自国通貨の下落を抑えるために新興国の中銀が金を大量売却したことによって、金価格は下落しました。主な変動要因は、短期金利による値動きですが、実需による影響も無視できないところです。

(2)リスク回避の動き

昨今のような不安定な経済環境やリスク資産の動向を背景に、市場センチメントが悪化する傾向にありますが、そのような局面では株式のヘッジ目的で金が買われることがあります。また、金は他の資産とは異なる動きをする傾向があります。ですから、リーマン・ショックのような金融ショック時にはポートフォリオの緩衝材として効果を発揮するかもしれません。実際にリーマン・ショックでは株式が大きく下落した局面では、金価格は上昇しています。チャイナショックや昨年10月の大幅な下落では、あまりヘッジ効果が見られなかったのですが、それは(3)による影響が大きかった問い考えています。

(3)米ドル相場(特に金利動向)

過去45年間のデータを取ると、ドルの動きに合わせて金は逆相関の動きをしてきました。FOMCの金融スタンスが以前までは19年に3回利上げ(75bp)を見込んでいましたが、一転してハト派的金融政策が見込まれ、利上げの市場予想(19年のFFレート市場予想)はほとんど0回になったことを受けて、2年もの国債利回りの上昇圧力が下落し、金価格にとってはいい材料となりました。一般的に、金には金利がつかないため、金利の上昇が生じるとドルや債券と比較して相対的な魅力が減少するためです。しかしながら、足元の米国の潜在成長率は2%程度、18年の実質的な成長率は2.6%、19年はというと雲行きが怪しくなりつつあります。例えば、堅調な企業設備投資とは裏腹に住宅投資がマイナス成長に転じました。日本同様、不動産価格の上昇と金融アフォーダビリティの悪化(金融機関が貸し渋ったり、金利が上昇したりすることによって、買い手が少なくなること)が理由です。さらに、米中のハイテクの覇権争いである貿易紛争も懸念材料です。「合意」にまつわるニュースはことあるたびに報道されますが、違反時の罰則など細かい取り決めを含めると早期決着は難しく、早くても19年後半の決着を見込みますが、しばらくの間関税による経済成長の押し下げ効果は継続しそうです。また、重要な課題として、19年以降は減税効果の剥落も懸念されるために、潜在成長率を下回る成長率とならないように、FRBハト派的スタンスはしばらくの間継続すると見込みます。すると、利上げに伴うドル高圧力の可能性は後退し、金相場にとっては追い風となる可能性があります。米国の双子の赤字(経常収支と財政収支の赤字)も、金相場にとっては重要な課題です。米国は約10年で赤字の膨張と削減を繰り返しているわけですが、19年以降はパターン通りに推移すれば、削減サイクルへと突入します。一般的には、双子の財政赤字が懸念されると、財政政策が取りにくくなるために、ドル安圧力がかかりますから、米ドルと比較して金(日本円保有分に対する為替ヘッジを行わない)は有利に推移する可能性があります。

ちなみに、金鉱株セクターの投資タイミングは、FRBタカ派に転じることによって、2年物国債利回りが下落してからだと考えていますがら現状MSCI ACWI株価指数MSCI素材株価指数、金鉱株を比較して見ると、金のPBRは、素材に対しても、世界株式全般に対しても相対的に魅力的な水準であります。上値余地は大きいと考えますが、それは当局の金融政策、金融ショック次第ということになるでしょう。

金融ショック、ボラティリティの高まり、ドルの下落に備えて、ポートフォリオの一部として、組み入れてもいいかもしれません。

 

補足 

金に投資すると一口にいっても、様々な方法があります。例えば、純金積立、純金裁定、地金、ETF、金鉱セクターの株式、金先物です。金の裏付けがある投資として、純金積立、地金、一部の金ETFがあります。地金は5年以上の長期譲渡で譲渡所得が1/2となる利点がありますが、保有コスト(保管等)が極めて高く、投資という意味合いではよくありません。純金積立は、地金ほどではないにしても、取引に関するコストが比較的高くかかります。金ETFは、保有通貨の選択が可能であるだけでなく、取引コストもやすいため、一応推奨していますが、マーケットによる需給にさらされやすいです。金先物については、裏付けがなく、証拠金による取引となるため投機的意味合いが強いです。何に投資するかは目的によって決めるべきと思いますが、コスト面、リスクシナリオへの対応策としての目的でしたら、ETFか株式でしょうか。

インナーサークル 「永遠に資本を生み出す装置」を目指して。

18年10月に発足した幣研究会(インナーサークル)は、多岐にわたる活動を行ってきました。

- 上場会社に、ストップ高に貢献

- 不動産会社に、質的引締めに対する解決策

- 不動産会社に、賃貸管理を2,212戸提供

- シェアハウス詐欺にあった投資家に対して、利回り250%化

- 猫保護施設に関する企画・運営

- 児童支援に関する企画・運営

上記以外にも、18年10月から19年3月にかけて50を超える活動を行ってきました。

 

あるインナーパーティで、某大学の経営の先生と出会いました。先生の研究の話、事業の話、私の活動の話と続くうちに、私の活動に関心を持ったらしく、立て続けに質問を浴びせかけれれました。「なぜそのような活動を行うのですか?儲かるからですか?」「何か思いつめている印象があります。原体験はあるんですか?」なとです。当の私はあまり上手に答えられなかったと記憶していますが、よく考えてみると自然の成り行きだったのかもしれません。

幼少期には父母の離婚騒動、小学生時代には祖父の死、高校時代には担任先生が俯きながら放った「SAn君にはクラスに戻らないでほしい」という言葉、大学時代には毎日ともに過ごした友人が行方不明になったこと、新卒の頃は泣きながら私を叱ってくれた上司が自殺したこと、創業時代には意向が会わずに多くの仲間を失ったこと。こうして振り返ってみると、29年という歳月を生きていると、辛いことも悩むことも多々ありました。弊研究会の設立自体も、「お世話になった人、好きな人の役に立つ」という理念も、頭をこねくり回した末の答えというよりは、自然に頭に思い浮かんだことも、「人」にまつわる記憶が多かったからなのかもしれません。言葉を選ばずに言えば、ただ単に、「寂しい」とか、「好きな人と離れたくない」という子供染みた表現がとてもしっくりきます(笑) 常々「好きな人の力を使いたい」「泣くほど喜ばせたい」と強く思っています。

 

研究会は「永遠に資本を生み出す装置」を目指しています。具体的には①資本の消散を抑える、②独占的な投資機会を与える、③紛争なく承継するというPB的フローを踏襲しています。それら全体に貫徹してアイディアを提供する機構として研究会を位置づけていて、そのそれぞれにおいて「多大な価値をもたらす機会(スイート・スポット)を極めて多数特定すること」を目指しています。この研究会は、今は微弱な資本装備ではありますが、最終的にはあらゆる業界のトップたち300名規模の巨大機構を想定しています。これが私なりの「最大限お役に立つこと」です。多大な価値というのは、単純に「閾値」×「ニーズ」と捉えています。例えば、昔読んだ小説に、こんな話がありました。ある麻薬組織に乗り込んだスパイが、麻薬組織の幹部を辞めさせるために、麻薬組織の幹部の子供が患っていた不治の病を唯一治せる医師を紹介するのです。幹部は泣いて喜び、麻薬組織を辞めます。本当に大切なこと(子の命は閾値を超えて大切)を、大切にしてもらうという図式がずっと心に残っているのです。主な活動領域は、運用、事業、慈善事業です。これらについて、スイート・スポットを特定することを使命としています。

 

立派なことを言っているばかりでは意味がないので、以下に関する活動を行っています。

- アイディアの募集

- アイディアの査定

- スイートスポットのシェア/企業への導入/サークル内での活動 

 

- アイディアの募集

事業領域においては、百戦錬磨の社長に事業案を頂くのがベストだと思っています。運用分野においては、ファンド/研究員等からインサイトを頂戴しています。合計で、週平均20程度の素案を収集しています。

- アイディアの査定

これは証券、アルバイトによって「その事業が本当に収益が上がるのか、金利上昇リスクに耐えうるものか」など査定します。必要に応じて税務・法務等の専門家に相談を行い、単なる仮説に過ぎなかった素案が、「閾値」×「ニーズ」をクリアできるかテストします。

- スイートスポットのシェア/企業への導入/サークル内での活動 

上記の査定の結果、スイート・スポットとなりうる機会を特定できた場合、オペに行う必要なことのある/ないことの仕分け、アウトソーシングすべきこと、期日管理、料金交渉などを行います。導入パッケージとしてメンバーの企業にご紹介することもあれば、単に情報共有に留めることもあります。だれも刺さらなかった失敗作は、幣サークル内でプロマネを行い、コンティジェンシー対応までを行います。

 

おそらく、この研究会のキモといいますか、キーバリュードライバーは、作業レイヤーも含めて知識・技術的なノウハウがあるとか、人づきあいが上手とか、記憶力・体力があるとか、そういうことではなく洞察力であると考えています。トイモデルの時点で、「なんとなくこのアイディアはいいかもしれない」という仮説が卓越していれば、スイート•スポットの特定比率も高まるだろうといことです。ですから、そのプロセス・分析の枠組みを一生懸命作りました。例えば、各分野のトップ層、つまり、多くの専門家、企業オーナーに頭を下げて、時間を作ってもらっています。例えば、上場企業/ベンチャーのオーナー、運用会社/PB/IBDの役員、NPO法人の代表や、某ファッション会社のデザイナー、大学の研究員、アルバイトなど、メンバーも徐々に増え、3月17日時点で28名います。それ以外のも、外資IBDの事業会社チーム、元会計系VCと検証面での提携が決まりました。(資金調達もできるといいなー)

 

補足ですが、「永遠に資本を生み出す装置」は業界用語でしょうか。PB界の歴史を紐解くと、稀に出てくる用語です。元々は、PBが得意だった「オフショア金融センター(OFC)×複雑な目的信託構造」スキームを使うと、努力なく、リスクなく、資本が永続的に増え続けたことを端に発していると、何かで読んだ記憶があります。某米国の運用会社が発端だと思いますが、絶対に認めないでしょう。

これだけは知っておきたいシリーズ 〜流動性リスク〜

前回少し長くなりすぎたので、今回はコンパクトにまとめてみようと思います。

リーマンショック時に米ハイ・イールド債が売られ、利回りが20%を超えて価格が下落しました。ハイ・イールド債とは、いずれクレジットの記事を書く際に触れると思いますが、低格付の企業・政府等が設備投資やM&A等の資金調達をするために発行する債券を指します。投資不適格債とも呼ばれています。低格付というのは、ムーディーズS&P社などの格付会社が、企業・政府などの信用を評価するのですが、ムーディーズならBa以下、フィッチやS&PならBB以下ということであり、投資適格債と比較してデフォルトリスクの高い(信用力の低い)債券が、一義的にハイ・イールド債とよばれます。ハイ・イールド債は、デフォルトリスクのプレミアムが乗った利回りを獲得できるため、比較的デフォルトリスクの小さいとされる国債と比較すると、利回りのスプレッドが大きい傾向にあります。このハイ・イールド債は、前回のブログで触れた「信用縮小」の局面で買い手が一気に減少する傾向があります。リーマン・ショックの前に、米金利が上昇すると、米国のハイ・イールド債は一気に売られ、流動性リスクが発生して、売ろうにも買い手がつかず、利回りが20%を超えて下落しました。恐ろしいリスクなのです。日本の不動産バブル時代の不動産も同様でした。

 

流動性リスクとはそもそもなんでしょうか。冒頭で触れた金融ショック時など、売買が極端に少なくなることで取引が成立せずに、売りたいときに売れない可能性を指します。株価は価格下落が予想されると買い注文が少なくなり、価格下落の圧力が強まります。 実際に価格下落が発生すると、さらに売り注文の圧力が強くなり、更なる下落も見込まれます。特に、取引規模に比べて大きな売りがある場合(特に小規模な市場)や、大きな資金を運用する投資家がいる場合は、流動性リスクが顕在化しやすい傾向にあります。例えば、2007年にベトナム株式市場がブームとなって、大量の資金が小規模なベトナム株に流入したことによって、株価は5倍以上に膨れ上がりました。 しかし、一度価格下落圧力が高まり、資金が流出しだすと株価は一気に1/5に下落しました。 最近は、CTA等の高頻度取引が増え、一度動き出した価格下落圧力が増幅される傾向がありますので、流動性リスクは顕在化しやすくなったと考えています。

 上述の通り、流動性リスクが顕在化すると、寄り付き前の売り気配のように価格がつかないことや、換金できないことがあります。例えば、2015年の中国株市場の取引停止、2016年英不動産ファンドの解約停止など、資産価格が下落しているのにも関わらずどうすることもできないといったことが発生しました。取引規模と比較して、海外ファンドなど大口の投資家が買っている場合は、そうした大口の投資家が売った時に買い手がつかなくなることがあり、他の投資家が魅力的と考える水準を超えても売りが落ち着くまで下落する可能性があります。冒頭で触れたリーマン・ショック時の米ハイ・イールド債も同様に、大幅下落しました。

 注意すべき点は、資金流入時には流動性リスクが大きな市場ほど値上がりする傾向があるので、一見すると魅力的に思えることです。そうした魅力と併せて、検討しなければならないことは、金融ショックに備えて、流動性リスクの大きさを把握することです。例えば、流動性リスクをはかる指標に、時価総額出来高があります。MSCI日本指数は時価総額437兆円、出来高2580億円であることに比較して、東証REIT指数は時価総額11兆円、出来高379億円です。最近できたインドREITや香港REITは高利回りですが、そのほとんどは出来高が極めて少ないものが多いです。そうした時価総額出来高に対して、例えば、日本株式市場に379億円の売り注文を出しても市場で吸収することができそうに思えますが、日本REIT市場に379億円の売り注文を出せば流動性リスクが顕在化することは必至でしょう。特に景気サイクル後期の流動性リスクが発生しやすい時に、中小株、ハイ・イールド債の商品を選ぶときは、時価総額出来高を確認することを推奨します。

これだけは知っておきたいシリーズ 〜金利〜

米国を筆頭に、10年続いた低金利政策に終止符を打とうしておりましたが、足元の景気指標の悪化を受けて、ここ最近の主要国、主要地域はハト派に転じつつあります。例えば、米FRBはガイダンスで利上げ休止が数ヶ月続く可能性を示しています。中国は3月の全人代で、金融政策に関する声明から「中立」という表現を削除し、ECBは政策金利を19年末まで据え置く方針としました。

このような金融政策は、今後の経済環境と資産価格にとってはキーバリュードライバーになりそうです。過去を参照すると、2000年初期、米国の低所得者層は、担保(住宅)と高金利を条件にサブプライムローンを組むことによって、住宅を購入することができました。サブプライムローンを提供していた金融機関が、貸し手としての債権を証券化し、投資家や他の金融機関に売却したことを皮切りに、世界中の個人/機関投資家サブプライム証券に大量の資金を流し込みました。しかしながら、FRBが2004年中頃から徐々に金利を引き上げたことによって、それまで順風満帆と思われていた住宅業界に影を落とし始めます。当時の不動産会社は、低所得者に不動産を販売する際に、「サブプライムローン金利は上がっていくが、住宅の値上がりによって金利上昇分を相殺できる」という建前で販売していましたが、金利上昇によって不動産価格は下落、借り手である低所得者にとっては債務返済コストの上昇が発生し、債権の焦げ付きが大量に発生しました。その不良債権を大量に取り扱っていたリーマン・ブラザーズの倒産し株式(倒産の場合無価値になる)・債券が大幅下落するだけではなく、同社が融資していた会社は資金繰りが悪化し連鎖倒産しました。これを受けて、金融不安による大量の株売りによって、世界中の金融マーケットは大暴落していったというのがリーマン・ショックです。金融アフォーダビリティが改善(金利の下落、金融機関の貸出姿勢の改善)されると、通常融資を受けることのできない低所得者層や小企業が融資を受け消費や投資に費やしやすくなります。そして、消費された財やサービスの販売会社やその従業員の給与が増えますので、新たな消費や投資が発生することで、経済が波及的に成長することを信用創造と言います。逆に、金融アフォーダビリティが悪化(金利の上昇、金融機関の貸出姿勢の悪化)すると、デフォルトリスクの高い低所得者や小企業にとって打撃となります。少しでも金利が上昇した時の、債務返済コストの上昇分が所得を上回り、赤字になってしまうからです。そうすると、消費や投資はできるだけ避け、何も生み出さない債務返済に資金を注ぐことになりますから、他の誰かの財・サービスは売れずに所得は増えません。その誰かの借金返済も滞ってしまうかもしれません。このような事態では、M2の増加による経済効果が急激にシュリンクします。このような事態は、リーマン・ショックだけではなく、バブル崩壊など、過去になんども顕在化しています。ですから、金利は、経済動向・資産価格を考える上で、極めて重要なファクターとなるわけです。

 

今回は、金利についてお話ししようと思います。

金利とは、なんでしょうか。ご承知おきの通り、国債の利回りです。詳しくは、債券の項目で詳しくお話ししますが、国債に付された利金は一定ですから、市中で取引される国債が安くなればなるほど利回りは上昇、逆に買われて高くなればなるほど利回りは下落します。(不動産も同様に、家賃が一定であれば、価格が下がれば利回りは上昇し、価格が上がれば利回りは下落します)

また、国債によって、償還期間は1日から数十年までのものがあります。しかし、個人投資家は、2年(短期金利)と10年(長期金利)を見ておけば問題ないと考えています。

 

- 長期金利:10年物国債金利で、金利全体の動きを表す指標として重要です。住宅ローンなど長期貸出金利の指標、長期の預貯金、新発の10年もの個人向け国際の参考となったりします。

- 短期金利:2年物国債金利で、一般的には中銀による政策金利によって大きく左右されます。

- それ以外の期間は無視しても構わないと思いますが、ニュースで頻出する金利関連の用語は押さえたいところです。

  - FFレート:米国の政策金利です。中銀は、FFレートを通じて、短期金利に影響を与え、結果として長期金利にも影響を与えようとしていますが、最近、FF実効レート(米国の政策金利)とドットプロットの乖離が話題になっていて、金融政策の有効性が問われています。

  - 中立金利:景気に刺激も抑制も与えない実質金利水準です。若干の推計が必要です。

  - ドットプロット:FOMCボードメンバーの考えるあるべき金利水準で、3ヶ月に一回公表されています。ボードメンバーの見通しの中央値が、ドットチャートの中央値で、利上げ期には利上げの打ち止め水準として参考にします。

  - FFレート誘導目標:実際に金融政策によって、政策金利をどの程度に誘導するかを示します。FOMCの声明で、「2.00%-2.25%」といったレンジで発表されます。

  - 実質金利名目金利から物価上昇率を差し引いた金利で。名目金利から物価上昇率を示すPCEデフレーターの前年比を差し引いた金利です。例えば、預金金利5%によって100円が105円になったとしても、インフレ率が2%ならば100円の商品が102円になるために、5%というよりもインフレ率との差である3%の金利がついたと考えるほう現実的です。

  - FF金利先物:ドットプロットはFOMCメンバーによる見通しでしたが、金利先物は市場関係者の予測する金利で、年末の12月限と翌1月限の平均です。よく「金利折り込み」と表現されますが、よく使われるのは、「FF金利先物Fedの金融政策変更をどの程度見込んでいるか」を示しています。例えば、ボードメンバーの見通しであるドットプロットでは、「1年以内に25bp(米国の一回あたりの利上げ/利下げする%、0.25%)を2回利上げすること」が見込まれている場合(Fed見通しと現在のレートの差)、金利先物市場においても同期間の金利水準が同程度である場合、金利が折り込み済み」という言い方をします。

それを式に直せば、織り込まれた確率を示すことができます。

{(100-FF金利先物)-現在の実効FFレート}/(引き上げ後のFFレート-実効FFレート)

 

話を戻します。国債の(名目)金利はどのように決まっているのでしょうか。

実質金利+期待インフレ率+スプレッド(新興国のデフォルト等リスクプレミアム)

昨今の米国のように失業率が過去最低水準で、賃金上昇率がジワリと上昇してきているような環境下では、インフレリスク(購買力の低下)が懸念されます(原油が安いのでインフレ圧力は低下しています)。インフレが予想されるならば、同時に企業の増益が見込まれます。そうした見込みのもとでは、固定的なクーポンしかもらえない国債よりも他のリスク資産に投資したほうが効率的です。結果的に、国債は売られ価格が下落することによって金利は上昇しやすくなります。もちろん金利上昇懸念が出てくると、株式は下落しやすくなります。

このように、一般的には金利が上昇すると、株式や不動産などの資産価格は下落する傾向にあります。逆も然りです。なぜなら、金利が上がれば、資金調達コストが上昇しますし、変動金利を採用している債務者にとっては資金返済に要するコストも上がるからです。別の見方をすると、金利が上昇すれば、国債との比較で株式の要求利回りは上がります。企業が生み出すキャッシュフローをDCF法で割り戻した時に、分母が大きくなるわけですから、企業価値は減少します。もちろん、インフレが発生すればキャッシュフローの増加圧力がかかりますから、分子も同様に拡大し、結果的に金利が上昇しても株価はあまり変動しないことは多くあります。

企業業績や経済環境に影響の与える金利は、Fedが金融政策を通じて調整しています。完璧に制御することは不可能ですが、金融政策を決する大きな要因はインフレ率です。金融政策の誤りは、最悪のシナリオではリセッション入り(ここでは成長率が潜在成長率を、市場参加者がリセッション入りであると認めるほどの期間下回ることを指します)を招きかねないですから、慎重になっているわけです。話を戻しますと、上で触れた通り、企業利益が伸びた分だけ、金利=資金調達コストも上昇しているケースでは、現在長期金利と株価に明確な逆相関は見られません。しかしながら、経済が悪いのにインフレ率だけが上昇するケースがあるようです。例えば、生産者物価の上昇です。インフレ率の上昇分だけ、企業の売上高は上昇しますが、生産者物価が上がるということは仕入れ値等が増えるということですから、企業の利益は増えません。企業の設備投資や従業員の給与も伸びにくくなりますから、消費や借入金を増やそうとする動機が小さくなるかもしれません。しかし、Fedはインフレ率が上昇してしまうと、経済の混乱を防ぐために利上げをしますから、景気にとっては益々マイナスの影響を与えます。経済が伸びていないのに、インフレ率が高まることを、スタグフレーションといいます。関税による輸入物価上昇懸念やOPECによる減産の取り決めや米国によるイラン・サウジへの制裁によって原油などのコモディティ価格が上がつたり、国の財政が悪化したときに、このような悪い利上げがされやすくなります。昨今の経済環境についていえば、2016年6月以降、米国長期金利は上昇を続けており、その大きな要因は期待インフレ率の上昇です。先に触れた通り、米金利による株価下落は中長期的には発生せずに昨年10月には米株価は史上最高の高値を叩き出しました。期待インフレ率を表す主な指標は10年物ブレークイーブンです。10年固定利付国債金利から10年物価連動国債利回りを差し引いたレート(bp)であり、実質金利とも言います。

FRBは金融政策を考える上で、PCEデフレーター(物価上昇の圧力を測る尺度)と10年ブレークイーブンに注目しています。一定期間10年ブレークイーブンがインタゲ2%を上回っている状態が続く(ことが見込まれる)と利上げが予想されます。ブレークイーブンが1.5%から2%の間では、金融引締の心配もありませんが、そのレンジを既に抜けていますから、期待インフレ率が回復しただけで株式を買っていた投資家は、今後以前のような上昇相場は期待しないほうがよさそうです。

為替も同様です。為替はどのように決まるでしょうか。これは、その時代や局面によって重要視される指標が異なります。しかしら、パターンはあります。(1)実需(輸出入や旅行)、(2)経済指標(特に、GDP、非農業部門の失業率、経済収支、CPI)、(3)金利、(4)経済政策(特に経常収支が良くなるならば買われやすい)、(5)ポジションの傾き(ロング、ショート、スクエアなどのポジション比率が大きく傾いた時など)、(6)政治(安定性)、(7)テクニカル(トレンドラインと5日/25日移動平均線だけでいいと思う)、(8)リスクオン/リスクオフです。特に金利については、ここ最近最も重要視されています。例えば、昨年米国が利上げしたことに伴い、新興国との金利差が発生しました。名目金利新興国の方がはるかに高いですが、上で説明した通り、新興国のデフォルトリスクプレミアムを差し引くと、実質金利では米ドルの方が有利と判断されたのだと思います。一般的には、高金利の国に投資したほうがリターンが高いため、資金が集まり、為替レートは上昇しやすいのです。補足ですが、ドルと他国の通過の間で、スプレッドが大きく開いているために注意する必要があります。国家間の株式や為替、同種のアセットクラス間でも同様のことが言えますが、単にスプレッドが大きいという理由で、急速かつ短命に売り買いがなされ、スプレッドが縮小することがあります。ドル高全面安の場合、ドルが安くなるのか、他の国の通貨が高くなるのかはたまたその組み合わせかは定かではありませんが、足元では米国の減税効果の剥落懸念や他国の利上げ、または中国の景気刺激策の規模感によるスプレッドの縮小が発生する可能性もあります。

日本は、(実は私たちの生活に密接している財・サービスに限定すればそこそこ物価が上がっているのですが)インタゲ2%が程遠く、金融緩和を続ける可能性が高いので、日米の金利差は今度拡大する可能性があります。金利差に着目すれば、ドル買いですが、景気サイクル後期に伴うボラティリティの高まりでリスクオフによる円買いやスプレッドの縮小がなされる可能性があります。実はここにも落とし穴があると考えます。政治的要因です。昨年米国と、カナダ、メキシコ間の貿易協定で為替条項なる取り決めがありました。現在はの米中貿易協議でも、「中国は元安誘導を行ってはならない」という為替条項に関する合意がなされそうだという報道があります。今後、協議が本格化する日米TAGにおいても論点に上がる可能性が浮上しているのです。つまり、トランプ氏の圧力による、日銀へのテーパリング圧力です。米国からの圧力によって、日銀が為替操縦(スポット市場への介入)を行い、実質的には円高誘導がなされる可能性があるのです。こんなことは、口が裂けても米国は認めない?でしょうけれど。

ちなみに、金利予測は不可能です(笑)。高性能のコンピュータを用意して、頭のいい人たちが複雑なモデルを組んで、ビックデータをいくら分析しても当たりません。実際にこれまで金利予測(FF先物の折り込み)が、金利の動向を当てたという経験は多くありません。なぜなら、トランプ大統領が何をいうかは誰も予測できないからです。ですから、(いつもこの結論になりますが)、インフレ率の上下、金利の上下を踏まえたポジションを作っておくことが大切だと考えています。

 

ちなみに、最近の逆イールド現象あるいは過度な引き締めが起きないかということについて、いくつかの可能性を考えてみます。

 FF実効レートと米10年物国債利回りのフラット化に続き、米10年物国債利回りと米3年物財務省短期証券(Tビル)利回りの逆イールド化によって、リセッション入りを予測する投資家が多くなっています。1960年以降、上述の逆イールド化が発生してからしばらくした後に、1966年を除き例外なくリセッション入りしているのです。特に88年、99年、05年はそれぞれ3年後、1年後、2年後のリセッション入りは有名です。この理由は二つ挙げられることが多いです。それは、第一に「長短金利の逆転が金融機関の利ざや(短期調達、長期運用)を圧迫し、貸出姿勢を悪化させるから」、第二に「市場が景気見通しの悪化や利下げを予測し、金利先物が織り込むから」です。過去の事例を見れば、中立金利は多少推計が必要ですが、1960年以降のほぼ全ての局面で、米実質金利から市場に刺激も抑制も与えない水準の米中立金利を差し引いた乖離率が、150-200bp(ベーシスポイント)を超えています。結果として、金融機関の利ざや縮小や支払利息の増加に伴う企業業績や家計(クレジットや消費量)の悪化に繋がり、数年後にリセッションに入るというものです。

 今回はどうでしょうか。唯一の例外である1966年パターンと同様に今回の米中立金利は実質金利を若干ながら上回っており、1960年以降のパターンには当てはまりません。米金利実質は下がっています。具体的には、期待インフレ率(10年物BEI)とWTI原油、期待インフレ率とシティが算出する米エコノミック・サプライズ指数(市場予想を上回る経済指標が多ければプラス)も大まかなところ連動していましたが、3月以降崩壊しています。この理由はいくつか考えられます。第一に、政治的圧力です。第二に、低インフレ率からの脱却です。第三に、ECBによるマイナス金利長期化予想です。まず、第一の政治的圧力ですが、トランプ大統領は金融緩和を好むことと、FOMCのボードメンバーの承認・解任は上院(現在、トランプ大統領共和党が過半を占める)の多数決で決まるという二点がキーです。19年末には「トランプ大統領がパウエルFRB議長の解任できるかを確認」、今年4月には「トランプ大統領がボウマンの続投を再指名する」というニュースが流れていました。3月のFOMCでは金利据え置きが発表されましたが、タカ派が声をあげなかったことを考えると、自身の身を案じた政治家への忖度が起きていのかもしれません。第二の低インフレ率からの脱却では、2月の金融政策フォーラムでクラリダFRB副議長が「長期インフレ目標がアンカーされていない」旨の発言をしました。つまり、米インフレ率がこのまま低水準にアンカーされてしまうと、企業や家計によるインフレ期待は低下して、現実的にインフレ率を押し下げてしまうのではないかと言った懸念を一つの材料として、政策金利を据え置いたのです。昨今の米金融政策はインフレ率重視の傾向が強く、原油の急騰や労働市場(失業率の歴史的な低さや、賃金上昇)によるインフレは金利上昇の要因となるかもしれません。第三のECBのマイナス金利長期化予想ですが、2014年にECBと日銀が金融緩和したことによって、相対的に米ドル高(為替高は輸入物価上昇によるインフレ期待要因)圧力がかかり、サーチフォーリターン勢による米国債市場への資金流入(米株も上昇)、米金利低下へと繋がりました。このドル高は、チャイナショックの要因ともなったので根強く記憶されています。

 理由は様々考えられますが、現状中立金利と実質金利の逆転は発生していないことから、1966年と同様のシナリオも一つ考慮しながらも、米国債への資金流入労働市場原油による急激なインフレ率上昇、トランプ大統領によるFRB介入というシナリオもポートフォリオへ組み込む必要がありそうです。

 

ちなみに、金融機関が、短期調達に対する長期運用の期間(融資期間)を誤ってしまったり、日本の不動産投資ローンのように、信用供与を大幅に増加させ、地価や資産価格を上昇させてしまっりした場合、結果として金融機関の貸出姿勢が悪化する可能性があります。その結果、地価や資産価格の上昇の結果長期国債利回りが上がったり、信用供与が減少することによってクレジット量が減ることにより、支払利息の上昇と利用できる融資枠の減少(間接的に自己資金や担保を要求される)によって企業と家計の心理が悪化し、投資・消費量の現象を招きます。これは、89年バブル崩壊、08年の米サブプライムショックにもあらまれましたが、昨今のアパートローン問題も含めて、担保や債務者のエビデンスを偽装して、貸してはいけない者・会社にクレジットを与えすぎることが原因となることが多いです。その手法は米国ではデリバティブ、日本では書類を書き換えるという古典的な手法で、憂うべきか否か悩みます。

 

補足ですが、FRBのバランスシートが金融政策に少なからず影響を与えていると考えます。利上げを行えば、政府、中銀、企業や家計の支払利息が増えることになります。これが、労働生産性を越える時に、金融危機の原因でもある信用縮小(クレジット量と消費量の減衰)が発生しやすくなりますが、利上げの上限を中銀の利払いという見地から推測することもできる。例えば、FRBが利上げをすれば、FRBによる金融機関への支払利息が上昇します。具体的には、バランスシートの準備預金のうち「超過準備預金」、「リバースレポ残高」の支払利息が増加します。一方で財務省証券やMBSの受取利息を原資として、支払利息に充当されます。例えば、19年1末のFRBのバランスシートの負債の部には、「準備預金1,609,140百万ドル」「リバースレポ249,236百万ドル」が計上されていますが、超過準備預金金利(FF金利の上限金利)は2.4%、翌日物のリバースレポ金利(FF金利の下限金利)は2.25%の合計約41,100百万ドルを支払利息として、各金融機関に払っています。一方で、同時期バランスシートの資産の部にある「財務省証券2,220,012百万ドル」「MBS1,621,810百万ドル」で、FRBの受取利息は約64,500百ドルです。しかし、実際はFRBのバランスシートは段階的に縮小が続いており、この受取利息は減少していきます。FRBFOMCで追加利上げの一時停止を示唆しましたが、バランスシート縮小の早期終了も示唆ししたのは、受取利息と支払利息の逆転による財務悪化も一つ理由に挙げることができます。

 

最後にご参考までに、最近の各中銀の動向です。

  • 20年3月の中国の全国人民代表大会で、景気減速を食い止める対策を強調しつつ、2019 年のGDP成長率目標を6.0‐6.5%に引き下げました。対策として、2兆元規模の減税と社会保険料引下げを発表し、金融政策に関する声明から「中立」という表現が削除されました。今後の金融緩和政策を暗示しているのでしょうか。
  • ECBは、銀行からの貸出を促す貸出条件付の長期資金供給オペ(TLTRO)の再開を発表し、初回利上げの時期を繰り下げています。先週のECB会合で、2019-2020の経済成長見通しが大幅に下方修正され、181.9%から191.3%(昨年11月は1.9%予想、欧州委は1.7%と楽観的な予想)、20201.6%(昨年11月の見通しでは1.7%)を見込む。特にイタリア、英国は低成長の見込みです。2019-2021年のインフレ見通しも引き下げられ、市場予想よりもハト派的な姿勢が示されました。理由として、貿易摩擦と公的債務の拡大、中国の景気減速によってEU内の景気減速を見込んでいます。フォワドガイダンスでは政策金利2019年末まで据え置く方針(従来よりも後ろ倒し)が示されましたが、ECBの示す2019末までのGDP成長率は18年の水準を若干下回る水準に設定されており、相変わらず楽観的ではないかと考えます。2020年中旬ごろまでは続く可能性もあると考えます。
  • FRBは利上げについて辛抱強く見守る姿勢に転じており、ガイダンスで利上げ休止が数カ月続く可能性もあることを示唆しました。先週発表された非農業部門雇用統計は、失業率が4,0%から3.5%に低下し、平均時給の伸びが金融危 機以降最高となる前年同月比3.4%増を記録し、インフレ圧力は高まっていますが、雇用統計の発表ご金利は低下しましたコアPCEインフレ率は FRBの目標近辺の1.9%にとどまっている。消費 者物価指数(CPI)が予想を大幅に上回った場合、FRBが市場予想より早目に金融引き締めに 転じる可能性があり、そうなれば株式市場に影 響を与える可能性があります。

今の局面で、年収500万円の投資家が投資用不動産を買う方法(自己資金拡充による質的引締問題の解決策)

 前回、上場会社様にご提供した事業案はストップ高に貢献することができましたが、今回はそれを凌ぐスイート・スポットとなるかもしれません。現状ざっくりとしたお話しかできませんがお許しください。

 金融機関の質的引締(自己資金2-3割)によって、苦しんでいる不動産会社や不動産投資家は多いという理解です。現在、そうした課題を根本的に解決する案を作っています。以前までにご紹介させていただいた、「管理・自己保有を導入した事業ポートフォリオや、不動産特定共同事業による小口戦略によって安定的に収益をあげる方法」ではなく、今回は不動産に対する融資構造自体へ挑戦し、「マンション・アパート・戸建の建設と仲介業」で正面突破します。

 キーは、金融機関の融資の動機付けにあります。デフォルト率の悪化や世間体(エビデンス改竄問題による風評被害)への配慮による融資総量の減少と、低金利時代にも関わらず優良な貸出先が少ないという間で揺れているものと思われます。20行と交渉したところ、複数の金融機関がフルローンもしくは自己資金1割以下を検討しています。融資の上限は4,000万円程度で限定されそうですが、期間20-30年、金利1-3%という条件でデッドを引けそうです。残りの金融機関からは「前例がないと難しい」という返答でした。後者に関しては、IBD、VCらの事業チームにて、今年の7月から実績作りを開始する予定です。

具体的な事業内容はブログにアップしませんが、ご関心がありましたらメールをご送付いただけますと幸いです。もちろん、例のごとく無償でご提供します。

運用で最も大切なことは、ポジション管理

 一部の市場参加者は、「主要なシナリオについて確信に満ちた状態」という印象です。例えば、「緩やかなインフレ率の下、英国を除くG7の経済成長はピークを過ぎるも、堅調に成長する。」というシナリオは、確かに日々のマクロデータで検証されつつあります(最近足元指標は悪くなってきました)。反対に「市場参加者がリセッション入りと認識するほどの期間、経済成長率が潜在成長率を下回る」というシナリオもあながち誤りだと明言できません。しかしながら、どれほど確からしいシナリオでも、単純に受け入れてはならないと考えています。後述の通り、マーケットがどのように反応するかなど、世界最先端の複雑な理論を使って、大量のデータを分析しても外れるからです。

 一方で各社が「重要な課題として、何をリスクと捉えているか」は大まかなところでは一致しているようです。それは、「米国の利上げペース」、「原油価格の動向」、「中国の景気刺激策の効果」です。前者2つのキーバリュードライバーは期待インフレ率の動向ですが、その根源には「米中の経済が安定的に成長するか」という問いかけがあります。GDP成長だけではなく、周辺地域との関わりにおいても、米中が世界経済そのものを動かしていると言っても過言ではないからです。その動向が、日本を含む先進国、新興国の経済状況や資産動向を大きく左右するでしょう。

  • 第一に、Fedの利上げ回数です。逼迫した労働市場/賃金上昇率や、不安定な原油価格や関税による生産者物価の上昇によって、予想を超えてインフレ率が上昇下場合、Fedの利上げ回数が上昇してしまうこと(私はベースシナリオでは1回と予測)です。それによって、市場コンセンサスでは、米国の予想成長率は、18年2.6%から19年2.0%へち減速を見込んでいますが、実績が、潜在成長率を多少上回るのか、一時的に潜在成長率が実績値を下回るも徐々に戻すのか、市場がリセッション入りとみなすほどの期間下回るかのかによって、経済・資産価格は大きく左右されるでしょう。
  • 第二に、中国の景気刺激策です。デレバレッジ(質的な引き締め)に対する景気刺激策の効果が、昨今のデレバレッジや関税による影響を穴埋めできるほどのものか。例えば、2016年では、中国の経済刺激策がきいて、数ヶ月後に世界中の景気指標が回復したことは記憶に新しいです。
  • 第三に、原油です。世界的な貿易量の減少を背景に原油の需要には減少圧力がかかっていますが、イラン制裁・サウジ懸念など地政学的な緊張の高まりによりエネルギー輸出が部分的に途絶し、供給量が限られることによって価格高騰が懸念されます。その後、企業の生産者物価に悪影響を与え、インフレ率が予想を超え短期的に上昇し、金融政策に悪影響を与える可能性があります。

これらの3つが、経済/資産価格に大きな影響を与えるということは、大まかなところでは一致していると思われますが、3つの重要な課題から分岐するシナリオは具体的にどういうものなのかという見解はまばらです。第一と第三の項目は、FRBの金融政策に影響を与えるわけですが、それによってソフト〜ハードランディングのグラデーションの中で、どこに着地するかに大きな影響を与えると考えます。良い方向に考える者、悪い方向に考える者、現状と大差ないと考える者といったふうに様々ですが、これも景気サイクル後期では良くあることのように思います。

市場参加者がどのような未来を見込んでいるのかによって、日々のマクロデータやニュースは解釈されマーケットは揺れ動くわけですが、時代や短期的な局面によって重要視されるデータや解釈は異なります。例えば、2018年の米中間選挙でねじれ国会が誕生しました。それを受けて、当初は「政策運営が困難になったため売り」というシナリオが優勢でしたが、翌日は「イベント通過、不透明感が払拭されたため買い」,その後は「ねじれ議会による外交穏健化」と日に日に移ろい,史上最高株価を叩き出した共和党の政策は見事に忘れ去られたかのようでした.このように「ねじれ国会」というテーマ一つとっても、アニマルスピリッツはデータを都合のいいように解釈し、「連想買い→妄想と気づく」を繰り返します。

加えて、リセッションを含め様々なシナリオが混在し、このような思惑が入り混じりやすい景気サイクル後期では、高ボラティリティが発生しやすくなりますが、それに拍車をかけるように近年増加したCTA等ファンド勢がボラティリティを高めているようです。

カオス的なマーケット環境下で、予測をすることは無謀と言ってもいいかもしれません。その証左として、運用会社や証券会社がどれほど複雑なモデルを使っても、先に触れた業績についても、金利先物についても半分以上は外れる印象です。

投資の本質は、ポジションの管理です。ポジション管理とは、現預金を含むアセットがどのようなリスク(リターン)シナリオ(重要課題の展開)の上に横たわっているのかを把握し、それら考えうる可能性としてのリスクシナリオが生み出すマーケットへの影響をできるだけ排除するような、資産配分、プロダクト、投資戦略を構築することによって、上下動く世界の成長を少ない誤差で収穫しようということです。もちろん、よく本に書いてある標準偏差や期待ショートフォール、最大ドローダウン、シャープレシオソルティノレシオなどの算出は、こうした戦略構築の一環であります。

しかし、トランプが何をいうかわかりません。ですから、「将来は実現した時にようやくわかる」という私の立場では、3つの重要課題あるいは日々のグローバルな重要な出来事がもたらしうる複数のシナリオごとに、マーケットへの影響を評価し、ポジション管理を徹底するということです。そうした解釈は、資産配分比率や運用のタイミング(どれくらいの間隔で何%ずつ資本投下するのが有利か)、リスク量の管理、デリバティブなどの戦略に現れますから、どのようなリスクシナリオの上に私たちのアセットは横たわっているのかをできうる限り認識したいところです。私の顧客は、今の時点で2.7ヶ月に一度、4%程度ずつポートフォリオを作っているので、5年強の間でリセッション入りしてくれるとパフォーマンスがグッと上がるなーと思っています。

ポジション管理のなかでも資産配分については、世界トップ中のトップの投資家たちが、言及するところでもあります。例えば、Yale大学基金「投資の成果の8割は、資産配分に起因する」、ブリッジウォーターのレイ・ダリオさん「投資家として重要なのは、最も重要なのは優れた資産配分戦略を持つことだ。言い換えれば、次はどうなる、何がよくなり何が悪くなるかを知ろうとしても勝てないということ。間違いなく失敗する」。単純に、彼らのポジションを真似すれば、キャッシュの潤沢さも取れるリスク量も異りますから、痛い目を見ることになるかもしれません。ハーバード、イェールなど大学基金、年金、保険が使っている「オルタナ戦略」は、キャッシュリッチで、最大ドローダウンが生じても、平均単価を押し下げることができるというポジションですから、単純に個人投資家が真似してはいけません。しかしひとついえることは、資産配分の重要性は、偉大な投資家たちによって散々指摘されていることなのにのに、投資のタイミングや、プロダクションの選定にこだわるのかよくわからないということです。もしかすると「この会社は上がる」というシナリオの方がわかりやすくていいのかもしれませんが、多くの資産クラスにとって、今後の10年は、過去の10年と同じようにはいかないことは、過去30年の各資産のIRRをとってみれば、よくわかります。いつでも勝てる投資というものは、ほとんどないのではないでしょうか。

単一のリスクに全てを捧げるのではなく、ポジション管理が大切です。

VC、IBDらによる事業チームにジョイ

昨年後期に発足した弊インナーサークルでは、最近定期的に案件を受注しております。とはいえ、承継関連を除きほとんどは無償ですが。。。現在顧客の上場会社と連携しているVCに、事業/運用アイディアのご提供とオペを提供してますが、お世話になっている方が運営するチームに参加する運びとなりました。

先方の代表者は、外資投資銀行の役職者を勤める一方で、個人としての活動も積極的です。実績は、IPO(2件)、事業会社運営(5件)、慈善事業(2件)、その他にもありとあらゆる活動を手がけています。その事業会社のいくつかとJVという形で事業を行う感じだと思います(まだ詳しく決まっていません)。

私は4年前に交流を持ちはじめたのですが、第一印象はスーパーサイヤ人ベジータ型)です。

「1日に何時間覚醒していられるか」を心がけているとのことです。例えば、何時に連絡しても即時返事が来ますし、移動手段は「タクシーと走り」です。ゆっくり歩いている姿を見たことがありません。そのような単調な行動以外にも、トイモデルの生成と実行までのスピードにはいつも驚かされます。例えば、「このエリアであのホテル事業」が儲かるらしいというトイモデルを作ったケースでは、1-2日後には、パフォーマンス目標、オペ人員/アウトソーシング、期日設定、ピボテ、建物の企画・内装、交渉までほとんどが完結していることが多いです。物量をこなしているからこそ、優れたトイモデルが生まれているし、

今回の連携の目的は、事業/運用/テクノロジーに関するアイディアの収集です。しばらくは、不動産を主体とした長期運用の最適化(主にファイナンスのための組織構築と15%運用の実現)、ブロックチェーン技術によるセキュリティ性と効率性の向上に携わることになりそうです。

気がかりは、私のデスクが用意されていることです。以前何度かオファーをいただいたのですが、本職を辞めるつもりはないです!